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家族の絆

その時、友美は純から手渡された簡単な地図を片手に夜の歌舞伎町の街をさ迷っていた。



たどり着いたとあるビルの一室に・・・



純から紹介をされた闇金はあった。



事務所に入ると数人のヤクザ風の男達がたむろって居た・・



「あ・・あの、純さんから紹介されたのですが・・」



そんな友美の言葉に・・・



1人の男が笑顔で・・



「あ〜聞いていますよ!3千万ご利用なんですよね!

どうぞ奥の部屋に・・・」と言った。



その時の友美の心境を考えると涙がこぼれる・・



どんなに不安だっただろう・・・



普通に生活していれば・・



いや、純に出会わなければ・・



こんな場所で金など借りる事は無かったのに・・



いや・・杉澤の娘で無ければ・・・



テーブルの上に詰まれた1万円の束を見つめながら・・・



大いなる不安が友美を襲う・・・



足が震えた・・・



今、友美の心の支えは・・



純に対する愛でしか無かった・・・



愛する男を助けたいと言う純粋な想い・・



「あんた・・これ、返せない時はそれなりの場所に沈んでもらうけど・・」



そんな男の言葉に・・



友美は小さくうなずいた。



「なら・・これ、借用書。ここにサインを・・・」



手が震えた・・・手が・・



詰まれた札束を鞄にしまい、友美は事務所を出ようとした・・・



その時・・・



「あんた・・辛い恋をしてるな・・

誰かを愛するってのは・・

幸せになるって事だよ!

自分を不幸にする男は・・

愛する事に値いしないと思う・・」



そう、闇金の男は言った・・



友美は振り返り・・笑顔で言った・・



「それでも・・好きなんです。

これから・・幸せにしてもらいますから・・」と・・・



友美が事務所を出ると隣の部屋から・・・



目を真っ赤にして出てきた男が1人・・・



「純さん・・いくら社長の命令でも・・・

あの子を沈めるのは・・・」



「うるせえな!そんな事!わかってるんだよ!!」



純の流した涙が・・



純の本心を物語っていた。



丁度、その頃、郊外のある閑静な住宅地の豪華な一戸建てのリビングで・・



1人の男が・・お酒を飲んでいた・・・



木下である。



「あなた・・どうかしたの??」



不意に妻の静香が木下に話しかける・・



「い・・いや・・別に・・少し考え事を・・・」



静香は、結婚前、田中の会社で秘書をしていた。



自分の夫がどんな仕事をして来たのか十分過ぎるほど知っていた。



そして、彼がこうして悲しい顔をしてお酒を飲んでいる時は・・



また、誰かに怨まれる仕事をしている時である事も知っていた。



木下は、ある一流の大学を出て、ある大手の銀行に就職をした。



将来を有望された男であった。



金融に関する全ての資格を取り、金融のエキスパートであった。



そんな彼が1人の女に恋をした・・・



そして、その女に嫌われたく無い一心で借金を重ねた・・・



気がつくと彼は莫大な借金を背負っていた・・・



そして、それがばれて・・彼は銀行を追われた・・・



歌舞伎町の闇金でくすぶっている所を田中に拾われた・・・



木下にとって田中は絶対であった。



自分を暗闇から救ってくれた・・神であった。



しかし、今、たまに考えるのだ・・・



もしかしたら・・自分は田中にはめられたのでは無いのかと・・・



タイミングが良すぎたから・・・



女と出会って闇金に落ちた時期と・・・



田中が金融業に手を出し始めた時期が同じであった。



田中に拾われ、木下はその恩に報いる為に必死で働いた。



そして、多くの恨みを背負いながら・・・



「お前は!人間か!!この悪魔め!!」



何度も・・何度も・・そんな言葉を言われた・・



その度に・・木下は家族の写真を見つめながら自分自身に・・・



こいつらを守らなくては・・と語りかけた。



木下は、タバコに火をつけた。



そして、大きく肺に煙を入れた・・・



そんな時に1冊の貯金通帳を静香が木下に差し出した・・



「あなた・・もうそろそろ解放されて・・悪夢から・・」と



中を見ると預金高・・3千万円



「お前らに贅沢をさせてあげれなくなるんだぞ!」



そんな木下の言葉に・・



「今も、してないわよ!だって家族3人で普通に暮らせるだけで・・

私は、幸せなんだもの・・

あなた・・あんまり私を見くびらないでね!

私達は家族なんだから・・1人で苦しみを背負うのは・・反則よ!ね!」



静香の笑顔に涙が・・・



「そうだな・・この件が終ったら会社を辞めるよ!」



そう・・木下は嬉しそうに呟いた・・・



普通が大事なのだ・・



そして、普通で居る事が一番・・幸せなのだ・・



人生は辛すぎて私の手には負えない・・

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